子の親権問題について

 

 近年、人的な国際交流が活発化し、国際結婚が増加しています。これに伴い、結婚生活が破綻した際、一方の親がもう一方の親の同意を得ることなく、子を自分の母国へ連れ出し、もう片方の親に面会させないといった「子の連れ去り」が問題視されるようになりました。

 

  1. スイス連邦における子の親権について

 スイス連邦で離婚をする場合、必ず裁判所での裁判に基づいて離婚が成立し、その際、親権についても決定されます。スイス連邦での親権は、母親、父親又は双方に与えられます。また子供と別居している他の片親には、子供に面会する面会権が与えられます。

 親権を与えられなかった他の片親の同意を得ないで子供をスイス国外に連れ出した場合、スイス連邦刑法典第220条(未成年者の窃取)に基づいて告訴され、3年以下の禁固刑又は罰金刑に処せられますのでご注意下さい。

 

  1. ハーグ条約について

 ハーグ条約とは、国境を越えた不法な子供の連れ去りを防ぐことを目的として採択され、締結国は2018年8月現在98か国(締約国一覧)です。条約締結国は、不法に子供を連れ去られた看護権者からの申し立てを受けて、子供の生活根拠地であった元の場所へ送還手続きをする義務を負います。その前提条件として、子供が16歳未満であること、条約締結国に居住していること、また、この申し出をした看護権者は司法上又は官公庁上実際に養育権を与えられ、執行していること等があります。

 スイス連邦は、1980年10月25日付のハーグ条約(国際的な子の奪取の民事面に関する条約)及び1980年5月20日付の養育権の回復及び子供の養育権に関する判決の執行と承認に関するヨーロッパ協定の条約締結国です。

 日本は、2013年の第183回通常国会において5月22日にハーグ条約の締結が承認され、6月12日に「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律」(いわゆるハーグ条約実施法)が成立しました。 条約及び条約実施法の承認・成立を受け、2014年1月24日、我が国は、条約の署名、締結、公布にかかる閣議決定を行うとともに、条約に署名を行った上で、オランダ外務省に受諾書を寄託しました。この結果、我が国において、ハーグ条約は2014年4月1日に発効することになりました。

  ハーグ条約の詳細や子の返還に係る手続きについてはこちらをご覧ください。また、政府広報インターネットテレビでもハーグ条約に関する番組を用意しております。ぜひご覧ください。

 

  1. 未成年の旅券申請に際して

 未成年の子どもに係る日本国旅券の発給申請については、親権者である両親のいずれか一方の申請書裏面の「法定代理人署名」欄への署名により手続を行っています。ただし、旅券申請に際し、もう一方の親権者から子どもの旅券申請に同意しない旨の意思表示があらかじめ在外公館に対してなされているときは、旅券の発給は、通常、当該申請が両親の合意によるものとなったことが確認されてからとなります。その確認のため、在外公館では、通常、子どもの旅券申請についてあらかじめ不同意の意思表示を行っていた側の親権者に対し、同人が作成(自署)した「旅券申請同意書」の提出をお願いしています。

 また、スイス連邦においては、父母の双方が親権を有する場合に、一方の親権者が、16歳未満の子を他方の親権者の同意を得ずに国外に連れ出すことは刑罰の対象となる可能性があります。実際に、居住していた国への再入国に際し、子を誘拐した犯罪被疑者として逮捕されたり、ICPO(国際刑事警察機構)を通じて国際手配される事案も生じております。

 当大使館では、在留邦人の皆様がこのような不利益を被ることを予防する観点から、16歳未満の子の旅券申請の際には、他方の親権者の不同意の意思表示がない場合であっても、旅券申請に関する両親権者の同意の有無を口頭にて確認させて頂いておりますので、あらかじめご了承ください。