スイス政府による行動制限措置(5月26日更新)

令和3年5月28日

 5月26日、スイス連邦内閣は、現行の新型コロナウイルス感染症予防のための各種措置の追加緩和措置(2021年5月31日より有効)を閣議決定しました。緩和内容の詳細については下記1をご参照ください。

 これ以外の措置については、引き続きスイス国内全土において有効となっています。引き続き有効なスイス政府による行動制限については下記3をご参照ください。
 
 なお,これまで同様,全ての公共の場で感染防止措置を実施すると共に,感染防止のための行動,衛生措置や社会的距離確保(1.5M)の遵守等が求められています。
 
 スイス連邦政府による行動規制は以下のとおりです。その他,州によっては独自の行動制限を発表しています。これら措置については,今後も,さらに変更される可能性がありますので,引き続き連邦政府及び各州政府の発表にご留意ください。

○スイス連邦政府発表:https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/medienmitteilungen.msg-id-83697.html


1.行動制限の各種措置の追加緩和措置(5月26日発表,5月31日より有効)

5月26日、スイス連邦内閣は、現行の新型コロナウイルス感染症予防のための各種制限措置の追加緩和措置(2021年5月31日より有効)を閣議決定しました。概要は以下の通りです。

(1)観客を伴うイベント等
(ア)観客を伴うイベントの制限(観客の人数)は、屋内の場合は現行の50人までから100人まで、屋外の場合は現行の100人までから300人までに引き上げられ、会場収容人数の上限は、現行の3分の1までから半分までとなります。座席指定とする必要はありませんが、マスク着用及び社会的距離の確保が求められます。
当該措置は、宗教行事にも同様に適用されます。
(イ)クラブメンバーのイベントや(博物館等の)ガイド付きツアーなどのイベントは、屋内外ともに参加者が現行の15人までから50人までとなり、結婚式や誕生パーティーなど私的空間ではない場所で行われる私的イベントにも適用されます。
なお、公共の場での集まりに関する人数制限は廃止されます。

(2)私的イベント
(私的空間で行われる)私的イベントの参加者は、屋内の場合は現行の10人までから30人まで、屋外の場合は現行の15人までから50人までに引き上げられます。

(3)飲食店の屋内営業等
(ア)飲食店における屋内営業は、各テーブル間の社会的距離の確保又は衝立設置、1テーブル当たりの人数は4人まで、飲食店側における顧客全員の連絡先情報の収集並びに着席義務を条件に再開されます。
また、テラス席においては、1テーブル当たりの人数が現行の4人までから6人までとなります。
客は、着席時にマスク着用義務はありませんが、屋内外を問わず離席時にはマスク着用が義務付けられます(従業員にはマスク着用義務あり)。
(イ)午後23時から翌午前6時までの営業禁止措置が廃止されます。
(ウ)公の場所におけるイベントでは、参加者全員の連絡先情報の収集を条件に着席形式での飲食物の提供が認められます。
(エ)感染予防のために飲食店に適用される全ての条件を満たした場合、パブリックビューイングやコンサートなどのイベントを飲食店で開催することが認められます。この場合の参加者は、屋内の場合は最大100人まで、屋外の場合は最大300人までとなります。

(4)アマチュアスポーツ等
(ア)アマチュアスポーツの参加者は、現行の15人までから50人までに引き上げられます。また、観客の動員も認められますが、観客数は上記「1 観客を伴うイベント等」と同様の条件が適用されます。
なお、チームスポーツの競技会は、屋外においてのみ認められます。
(イ)ペアダンスやレスリング等の身体的接触を伴うスポーツは、マスク着用義務はありませんが4人までの固定グループで屋内においてのみ認められます。
(ウ)ヨガ等の激しい動きを伴わない屋内スポーツにおける必要な広さは、1人当たり15平方メートルから10平方メートルへと引き下げられます。
(エ)温泉及びウェルネス施設の再開が認められ、マスク無しで利用が可能ですが、社会的距離の維持及び1人当たり15平方メートルの広さを確保する必要があります。なお、屋内プールにおいても同様の条件が適用されます。

(5)文化活動
(ア)参加者はアマチュアスポーツの条件と同様に現行の15人までから50人までに引き上げられます。公演も認められますが、上記「1 観客を伴うイベント等」と同様の条件が適用されます。
(イ)吹奏楽を演奏する際に必要な広さは、1人当たり25平方メートルから10平方メートルへと引き下げられます。
(ウ)アマチュア・プロともに合唱団による公演が再び認められます。

(6)高等教育機関における対面授業
高等教育機関における対面授業は、新型コロナウイルス検査計画の策定及び各州当局による承認を条件に、現行の50人までの人数制限が解除されるとともに、講義室の収容人数制限が廃止されます。なお、マスク着用義務及び社会的距離の確保が引き続き適用されます。

(7)ホームオフィス
(ア)週に一度新型コロナウイルス検査を実施する企業は、ホームオフィス義務が解除され、推奨事項へと引き下げられます。
(イ)スイス国内において、希望者全員に対する新型コロナウイルスのワクチン接種が完了し正常化段階へと移行する際には、ホームオフィス措置を緩和し勤務形態に関する制限が廃止される見込みです。ただし、その場合においても職場における高リスク者に対する感染予防措置は引き続き適用されます。

(8)検疫等の免除
(ア)新型コロナウイルスの罹患から回復した人及び新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた人は、事後6か月間にわたり感染者との濃厚接触及びスイスが指定するリスク国・地域からのスイス入国時における検疫(自己隔離)の義務が免除されます。
(イ)新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた人は、さらに、スイス入国時における検査証明及び連絡先情報の登録義務が免除されますが、スイス連邦政府又は欧州医薬品庁(EMA:European Medicines Agency)で承認されたワクチンによる完全な接種が条件となります。
(ウ)スイス入国時における検査証明及び検疫(自己隔離)の義務免除は、16歳未満の人に対しても適用されます。
(エ)なお、新型コロナウイルス変異株のまん延が懸念される国・地域からスイスへ入国する場合には、新型コロナウイルスの罹患から回復した人又は新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた人に対する各種検疫措置の免除は適用されません。

(9)更なる追加緩和措置
スイス連邦内閣は、更なる追加緩和措置について7月1日以降の実施を想定し、6月11日に案を発表、各州等との協議を経て6月23日又は30日の閣議決定を目指すとしています。

〇参考:スイス連邦内閣閣議決定
https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/medienmitteilungen.msg-id-83697.html


 
2.現行のスイス政府による行動制限(禁止及び義務)(2021年5月31日に解除(上記1参照))
(1)レストランのテラス席の営業再開
2021年4月19日以降、レストランやバーにおいて、テラス席のみでの営業再開が認められます。ただし、着席のみでの利用とし、飲食時のみマスクを外すことができます。また、1テーブル当たりの人数は4人までとなります。
飲食店側は、全員の連絡先情報の収集並びに各テーブル間の1.5mの社会的距離の確保又は衝立設置が義務付けられます。なお、ディスコ及びクラブは、引き続き閉鎖されたままとなります。

(2)公的に立ち入り可能な施設等の再開
公的に立ち入り可能なレジャー・娯楽施設は、一般の店舗や美術館・博物館等と同様の条件での営業再開が認められます(動物園・植物園は全てのエリアが再開可能となります)。ただし、屋内においては常にマスクを着用するとともに、社会的距離を確保する必要があります。なお、ウェルエス施設及びスイミングプールの屋内エリアは、引き続き閉鎖されたままとなります。

(3)観客を伴うイベント
観客を伴うイベントは、人数制限付きでの実施が認められます。観客の人数は、例えばサッカーの試合や野外コンサートなどの屋外の場合は100人まで、映画館、劇場、コンサートなどの屋内の場合は50人までに制限され、会場収容人数の3分の1が上限となります。常時着席及びマスク着用が義務付けられるとともに、観客同士の距離を1.5m確保する又は座席間を空ける必要があり、飲食は禁止され、イベント中の休憩時間はありません。

(4)その他のイベント
既に認められている私的な集まりやスポーツ・文化活動に加え、参加者が最大15人までのイベントの開催が認められます。例えば、博物館等のガイド付きツアー、クラブメンバーの集まり、レジャー・娯楽イベントなどが含まれますが、マスク着用及び社会的距離の確保が要件となります。

(5)成人のスポーツ及び文化活動
成人によるスポーツ及び文化活動に対する規制は、個人又は参加者が最大15人までのグループでの活動について緩和され、この条件下では試合を行うことも認められます。屋外の場合には、マスク着用又は1.5mの社会的距離を確保する必要があり、屋内の場合には、マスク着用及び1.5mの社会的距離を確保する必要があります。ただし、フィットネスクラブでの持久力トレーニングや合唱団での歌唱など、マスクを着用できない活動については例外とし、より厳しい社会的距離の確保が要件となります。なお、物理的な身体的接触を伴うスポーツは、屋内での活動は認められず、マスクを着用した場合に限り屋外での活動が認められます(スポーツ及び文化活動は、屋外での活動及び事前に新型コロナウイルス検査を受けることが推奨されています)。

(6)大学等における対面授業
義務教育機関及び後期中等教育機関以外の大学及び成人教育機関での対面授業は、限られた範囲で実施可能となり、最大50人までの人数制限、会場収容人数の3分の1までを上限とし、マスク着用と社会的距離の確保が義務づけられます。

(7)企業内における自己検疫措置の免除等
検査計画を有し、現場で働く従業員に対し最低週1回の新型コロナウイルス検査を提供する企業の従業員は、新型コロナウイルス検査において陽性と認められた人と業務活動中に接触した場合においても、自己検疫義務は適用されません。また、老人ホームや養護施設は、新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた入居者をマスク着用から免除することが可能となります。これは、新型コロナウイルスの感染から回復した入居者に対しても同様です。



3.引き続き有効な行動制限
(1) スイス全土におけるマスク着用義務
以下の場合において、マスク着用が義務付けられます。ただし,12歳未満の子供、医療上の理由でマスクを着用できない人等は対象外となります。

(ア)公共交通機関(マスク着用を拒否する場合には、降車指示あるいは罰金が課せられることがあります。)
・列車、トラム、バス
・登山列車
・スキーリフト
・船舶
・航空機(スイスを離発着するすべての路線、チャーター機)
・プラットフォーム、トラムやバスの停留所(露天を含む)
・駅、空港及びその他の公共交通機関を利用する場合に立ち入る公共エリア。
(イ)一般にアクセス可能なエリア(12月22日以降閉鎖されている施設があることに注意)
・店舗、ショッピングセンター、銀行、郵便局、ホテル(客室を除く)、医療・療養機関、教会、宗教関連施設、各種相談窓口、集会所、官公庁、会議やイベント等で使用するレンタル会議室、青空市場、クリスマスマーケット等。
(ウ)公的空間におけるマスク着用義務
・混雑した町や村の中心部の歩行者エリア、その他1.5mの必要な社会的距離を確保できないあらゆる場所。
(エ)職場におけるマスク着用義務
・ホームオフィスが不可能である、又は部分的にしか実施できない場合、2名以上が同一空間内で執務する際には,マスク着用を義務づけられます(十分な距離の確保のみでは不十分となる)。マスク着用義務の適用除外については、医師または心理療養士が発行した診断書の提出が必要となります。
・室内ではマスクを着用しなければならない。2名以上が接触する多人数オフィスや共用部分(会議室や区分されたデスク、廊下、エレベーター、トイレ、休憩室等)、個室における相談等を含む。個室は例外。
(オ)後期中等教育(Sekundarestufe II)以降の教育機関
・ギムナジウム、職業学校、専門学校等の後期中等教育機関におけるマスク着用義務。青年、教員その他の関係者は、授業中や校内でマスクを着用しなければならない。

(マスクの種類、マスクの着用方法については以下のリンクを参照(独語)。
https://www.bag.admin.ch/bag/de/home/krankheiten/ausbrueche-epidemien-pandemien/aktuelle-ausbrueche-epidemien/novel-cov/masken.html#1416629835
 
(2) ディスコ、ナイトクラブの営業が禁止されます。
 
(3) その他
 (ア)簡易抗原検査の対象が無症状者及びスイス連邦保健庁による現行の検査実施基準を満たさない人にも拡大されるとともに、検査手法及び検査実施場所も拡大されます
 「陰性」の判定結果は、検査日当日に限り有効です(陰性判定をもって同庁が定める衛生・感染防止措置等の代替とすることはできません)。
 「陽性」と判定された場合は、直ちにPCR検査を受検することになります。この場合のPCR検査費用は、スイス連邦政府が負担します。
(イ)2021年1月28日(木)から、スイス連邦政府は、一定の場合に無症状者に対する新型コロナウイルス検査費用を負担します。
これは、新型コロナウイルスの局所的な発生を早期に特定して封じ込めるとともに、より伝染性が高いとされる変異種に対処するためです。新型コロナウイルスの症例について、半数以上が感染の自覚のない無症状者を通じて発生しているため、2020年12月中旬以降、感染防止コンセプトの枠内において、老人・介護ホーム、ホテル又は職場における無症状者の検査が認められましたが、こうした検査の無料化により受検を奨励することになります。
簡易検査の結果が陰性であれば報告する必要はありませんが、陽性の場合は、PCR検査を受検し結果を報告する義務があります。
(ウ)濃厚接触者に対する検疫(自己隔離)ルールの変更
これまで実施されてきた濃厚接触者に対する検疫措置は、感染者との最後の接触から
10日間の自己隔離でしたが、2021年2月8日(月)からは、7日目以降に抗原検査又はPCR検査を受検し、検査結果が陰性の場合は、各州保健当局の承認を得て、検疫措置を早期に終えることが可能となります。
ただし、その場合でも、10日間の自己隔離期間が終了するまではマスクの着用及び社会的距離の維持が求められ、また、この検査費用は本人が負担する必要があります。
なお,検疫等の免除については上記1(8)をご参照下さい。
(エ)刑事罰及び行政罰の適用
2月1日(月)以降、スイスにおける新型コロナウイルスに対する各種措置に違反した場合、刑事罰による罰金が科される可能性があります。
違反に応じて罰金は50~200スイスフランに設定され、例えば公共交通機関内、駅、バス等の停車場、公共施設内等において、マスクを着用していない人に対し罰金が科されます。
また、無許可のイベントへの参加や禁止されているプライベートイベントを実施した場合には、行政罰による罰金が科されます。
(オ)スイス連邦政府による薬局での予防接種費用負担
2021年2月1日(月)以降、スイス連邦政府は、ワクチン接種センターでの予防接種と同じ条件の下で、薬局の薬剤師が実施する予防接種の費用についても負担します。
(カ)スイス連邦政府による薬局での自己検査キット配布費用負担
2021年4月7日(水)以降、スイス連邦政府は、薬局での自己検査キット配布を開始し、その費用を負担します。


 
4.引き続き,以下の新型コロナウイルス感染症の感染防止のための衛生及び行動に関するルールの遵守が求められています。

・社会的距離確保(1.5M)の遵守
・社会的距離を確保できない場合はマスクを着用すること
・衛生に気をつけること
・新型コロナウイルス感染症の症状がある場合は検査を受けること
・連絡先を提供しトレーシングが出来るようにすること
・自主隔離及び自己隔離を守ること


○ スイス連邦政府: 行動制限について

○ スイス連邦保健庁:新型コロナウイルス感染症についてのFAQ(イベント及び職場について)

○ スイス連邦保健庁:新型コロナウイルス感染症から身を守る方法

各州情報