白石大使の活動報告コメント「白銀のユングフラウ・ヨッホと赤い郵便ポスト」

令和4年1月10日
白石大使の活動報告「白銀のユングフラウ・ヨッホと赤い郵便ポスト」1
白石大使の活動報告「白銀のユングフラウ・ヨッホと赤い郵便ポスト」2
大使の活動報告とするにはおこがましいのですが、ベルン郊外のグリンデルワルトにスキーに出かけた際、日本の赤い郵便ポストに再会した話を紹介します。

2021年12月19日の日曜日、この冬、初めてのスキーに出かけました。ハイキング仲間の大使館員2人と一緒です。行き先はグリンデルワルト。そこからゴンドラでアイガーグレッチャー(ドイツ語で「アイガー氷河」の意味)に登り、初スキーを楽しもうというわけです。

スキーは2年ぶり。実は、着任後、初めての冬を迎えた2020年1月、大使館員に誘われて、ベルンから車で1時間半ほどのグシュタート(Gstaad)に出かけたのですが、滑り出しで転んで左膝を痛めてしまい、1か月ほど左足に痛みと違和感が残りました。そのため、その後はスキー行を断念していたのですが、そろそろ再開してもいいか、と考えた次第です。

当日は珍しく晴天に恵まれました。インストラクターに初級者向けの広くて滑りやすいコースを選んでもらい、1時間ほど初滑りを楽しみました。転倒なしで幸いでした。

昼食後、さて引き上げようという段になって、同伴の大使館員が、せっかくなのでユングフラウ・ヨッホ駅にある郵便ポストを見て帰ったらどうか、と助言してくれたのです。

この日はスキー場からアイガー、メンヒ、ユングフラウの3峰がくっきり望める晴天で、ユングフラウの直下にあるヨッホには登ったことのない小生にとっては、またとないチャンス。郵便ポストの話を聞いて立ち寄ることにしました。

このポスト、1993年7月に日本の富士山5合目簡易郵便局(標高2305メートル)とユングフラウ山岳郵便局(3454メートル)との間で姉妹関係の提携が実現したのを記念に、富士山にはスイスの黄色いポスト、スイスには赤いポストが設置されることになったそうです。

それぞれ、国内で一番高いところにあるポスト同士という関係で、日本側から提携を申し込んだということでした。2013年には、20周年記念行事がユングフラウ・ヨッホ駅で行われています。

ランチを食べたレストラン近くの駅から鉄道を乗り継いで、ユングフラウ・ヨッホ駅に登りました。スキーウェアにスキーブーツ、ヘルメットというゲレンデ姿そのままです。

ヨッホ駅は山中の地下トンネルの中にある特別な駅です。トンネル内にはいろいろ観光用のスポットが用意されています。

私たちはエレベーターを利用して展望スポットに近いところまで上がりました。屋外に出る階に達すると郵便ポストが立っていました。昔懐かしい丸い赤ポストです。

日本の郵便博物館のホームページによると、赤い丸型ポストは1949年に新型鉄製ポストとして登場したそうです。ヨッホ駅にあるポストが何年に製作されたものかわかりませんが、かなり古そうに見えました。

ポストの後ろの壁には、「山岳郵便局姉妹締結20周年 1993年7月―2013年7月」と書かれたプレートがスイス側のドイツ語表記とともに掲示してあります。

日本から訪れた多くの観光客がここで絵はがきを投函したのでしょう。私が訪れた時には日本人観光客らしい姿はありませんでした。コロナ禍の中ですから当然ですね。

駅舎から外へ出ると、展望スポットに立っているポールに、赤地に白十字のスイス国旗(白地に赤い円の日本国旗とは好対照です)が強風の中ではためいていました。そこからは360度のパノラマが望めます。

もちろん眼前には4158メートルのユングフラウがそびえていました。眼下に白雪の山並みと氷河が広がり、アルプスの壮大さを感じさせてくれました。

写真は、ユングフラウ・ヨッホに立つスイス国旗と、駅舎の赤い郵便ポストです。同僚に撮ってもらいました。私の姿が映り込んでいるのをお許しください。赤い郵便ポストが、いつまでもスイスと日本の友好の印として活躍することを祈りつつ、絶景に別れを告げ、山を下りました。(2022年1月10日記)