白石大使の活動報告コメント「万国郵便連合(UPU)に日本人トップ誕生」

令和4年1月11日
2022年1月5日、ベルンにあるUPU(Universal Postal Union)本部で新旧事務局長の引継ぎ式が行われ、 各国大使に混じって在ジュネーブ日本政府代表部の山﨑大使とともに参加しました。

新しい事務局長は、日本の目時政彦さんです。目時さんは、日本郵便の常務執行役員を務めながらUPUの郵便業務理事会議長のポストをこなしていましたが、2021年8月、コートジボワールで開かれたUPU大会議における選挙で事務局長に選ばれました。

任期は2022年1月から始まるため、この日、引継ぎ式が行われたわけです。

UPUは、郵便業務を効率的、円滑に運営するため国際的な調整を行うことを主な目的に1874年に設立された由緒ある国際機関で、1947年から国連の専門機関として活動しています。192の加盟国・地域から構成され、スイスのベルンに本部が置かれています。職員はおよそ250人。

事務局長の任期は1期4年で、再選されれば8年務めることができます。これまで150年近いUPUの歴史の中でアジア・太平洋地域から事務局長が選出されたことはありません。

そのため日本は、UPUの理事会議長として実績を上げてきた目時さんを次期事務局長候補として推薦、アジア・太平洋地域の代表として国を挙げて応援してきました。もちろん、この地域だけでなく、広く国際的な支援の輪を広げるため、積極的な選挙運動を展開しました。

目時さんの実直な人柄とこれまでの貢献が各国からの支援を得て、事務局長選挙では他の2候補を押さえて勝つことができました。

国際機関のリーダーの椅子をめぐっては、最近、中国が存在感を増しており、国際機関のトップを射止めるケースが目立ちます。日本は出遅れ気味です。

そのため日本国内でも、積極的な国際貢献の舞台として国際機関トップの座を目指すべき、との意見が高まっています。その意味で、目時さんのUPU事務局長就任は日本にとっても重要な意味を持つものになりました。

引継ぎ式には新旧事務局長に加え、同じく選挙で選ばれた事務局次長と旧事務局次長の2人も出席。退任するフセイン事務局長から目時さんに、職責の引継ぎを象徴する鍵が手渡され、それを受けて目時さんが就任の挨拶をしました。

挨拶の中で、目時さんはUPU加盟国・地域の協力を得て郵便事業の発展に取り組む決意を表明するとともに、他の国際機関と連携しながら2030年を期限とする持続可能な開発(SDGs)目標の達成に努力する方針を強調しました。

192の加盟国・地域を要するUPUの運営は容易ではないでしょう。先進国と途上国との間の郵便事業・サービスの格差を是正して、いかに効率的な国際的ネットワークを作っていくのか、携帯電話やメールで情報を交換できるデジタル時代に郵便事業をどう展開していくのか、民間企業との提携をどう進めるか、など課題は少なくありません。

目時さんの指導力、牽引力に期待するところ、大です。ベルンに本拠を置くUPUの活動に、在ベルンの日本大使館としても全面的に協力するつもりです。

皆さんとともに、目時さんの活躍を期待しましょう。(2022年1月11日記)