白石大使の活動報告コメント:「ノーベル賞学者の明快な講演に聴衆は大感激」

令和4年9月28日
ジャパン・レクチャー・シリーズ山中教授講演
9月16日夕、チューリッヒ大学大講堂で開かれた山中教授の講演会には多くの聴衆が集まり、広い講堂は超満員でした。
 
この日の講演は、同大学が主催するジャパン・レクチャー(日本講演)シリーズの第2弾として開かれたものです。日本を幅広く理解することを狙いに、学者や文化人、ビジネス界のリーダーを講演者として招き、大学関係者だけでなく一般のスイス人にも開放した集まりです。
 
大講堂といっても大学の施設ですから、広さに限りはあるのですが、それでも250人を超える聴衆が会場の1、2階席を埋めました。この大講堂は、イギリスの首相を務めたウィンストン・チャーチルが、第2次世界大戦直後の1946年に歴史的な演説をしたことで有名です。
 
山中教授は「人工多能性幹細胞 (iPS) 」の作製に成功し、再生医療に道を開いたとして2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞しました。その後も、後進を育てながら研究開発の第一線に立ち、iPS細胞の安価かつ大量の供給を目指して奮闘しています。
 
この日の講演のテーマは、iPS細胞の再生医療への活用と将来への展望、研究開発促進のために必要なiPS細胞の培養・作製と世界中の研究機関への配布をめぐる現状と課題でした。山中教授は、スライドを使いながら40分余りの講演を明快な英語で進め、終了後には聴衆からの質問にも丁寧に答えておられました。
 
私事に渡って恐縮ですが、山中教授とは私が大使になる前の読売新聞社長時代からのおつきあいで、チューリッヒ大学での講演もその縁で快く引き受けていただきました。
 
教授は夫人同伴で久しぶりにスイスを訪問されたとのことで、講演が終わった後の日程にベルン滞在も含めていただき、当地での懇談の機会を持つことができました。山中教授にも気分転換と英気を養う機会を持っていただけたと思います。今後のますますの御活躍を期待します。(9月27日記)