ファーターラント紙の日・リヒテンシュタイン国交樹立30周年に関する飯島大使インタビュー記事

令和8年6月23日
「観光分野はなお大きなポテンシャルを有している。」
日本大使がインタビューにおいてリヒテンシュタインと日本の国交樹立30周年について語る。


【質問】6月12日は日本とリヒテンシュタインの国交樹立30周年の記念日となる。1996年当時、この公式な一歩を踏み出す主たるきっかけは何だったのか?

【飯島大使】日本とリヒテンシュタインの間には古くから日本の皇室とリヒテンシュタイン公爵家との間に交流がありましたが、1990年のリヒテンシュタインの国連加盟を一つの契機として、ともに国連加盟国となった日本とリヒテンシュタインの間で正式の外交関係を樹立する方向で意見が一致し、1996年に国交樹立に至ったと承知しています。

【質問】リヒテンシュタイン公爵家と東京の皇室との関係は、非常に親密で緊密であるとされている。両国の政治的協力において、こうした公爵家・皇室間の個人的な関係はどれほど重要か?

【飯島大使】皇室も公爵家もそれぞれ両国の国民から共に深い敬愛を受けており、その交流を通じて両国の国際親善の関係が進展することが期待されます。実際に、皇室・公爵家の交流は相互に相手の国への親しみを両国民の間に醸成させていると思います。

【質問】あなたはベルンに駐在する大使だが、同時にリヒテンシュタインの大使も務めている。スイスと比較して、リヒテンシュタインとの外交業務にはどのような違いがあるか?「リヒテンシュタイン特有」の課題はあるか?

【飯島大使】「リヒテンシュタイン特有」の問題はありません。ただし、他の多くの国がそうであるように、日本のリヒテンシュタイン駐箚大使も勤務地がベルンであり、ファドゥーツとの距離があることから、頻繁に首都での業務が出来ないことを制約として感じることはあります。

【質問】あなたは昨年10月以来、スイスとリヒテンシュタインの大使である。それ以来、最も関心をお持ちの課題は何か?

【飯島大使】リヒテンシュタインとの関係について言えば、本年が国交樹立30周年の節目の年となっているので、リヒテンシュタインにおいて記念イベントを開催しており、多くのリヒテンシュタイン市民の方々に来ていただけることを期待しています。また、30周年を記念して、先般、日本大使館はリヒテンシュタインに関するインスタグラムの公式アカウントを立ち上げました。是非、皆さんにご覧になって頂きたいと思います。

【質問】HiltiやIvoclarといったリヒテンシュタイン企業は、横浜や東京に子会社を構え、極めて成功を収めている。Hilti社は1968年からすでに現地に進出している。こうした「模範的企業」は、日本におけるリヒテンシュタインのイメージにとってどれほど重要か?

【飯島大使】リヒテンシュタインは国民一人あたりGDPにおいて世界トップのレベルにあり、数字の上では既にその経済力が日本において知られていますが、実際にリヒテンシュタイン企業の製品やサービスを日本の消費者が知ることは、リヒテンシュタインのイメージをより具体化させる点で非常に重要であると思います。

【質問】今後、経済協力のさらなる深化において、どこに最も大きな可能性を見出しているのか?

【飯島大使】観光分野はなお大きなポテンシャルを有していると思います。多くの日本人がリヒテンシュタインを訪れ、いろいろなレベルでの交流を強化していくことがその後の経済協力の幅を拡げていくことにつながるものと考えます。

【質問】毎年、どれくらいの数の日本人がリヒテンシュタインを訪れているのか?また、日本の人々は当公国のどのような点に特に魅了されているのか?

【飯島大使】日帰りの人も含めた観光客数の統計はありませんが、アルプスの山々やファドゥーツ城は日本人観光客にとっては非日常の魅力的な風景と言えます。

【質問】あなた自身は、どのような点に魅了されているのか?当初、どのような点が異質に感じられたか? 

【飯島大使】最も魅了されるのは、リヒテンシュタインの国土の美しさと人々の優しさです。また、日本人と同様によろず几帳面で礼儀正しいところにも親近感を感じています。

【質問】地政学的に不安定さが増す世界において、日本とリヒテンシュタインは、法の支配、多国間主義、国際法の遵守といった価値観を共有している。今日、このような価値観に基づくパートナーシップは、どれほど重要だとお考えか?

【飯島大使】まさにご指摘のとおりであり、力や威圧による現状変更を行おうとする勢力が存在し、世界の秩序への挑戦が行われている中、価値観を共有する日本とリヒテンシュタインは、EU、スイスや米国、カナダなど同志国と連携して、世界の平和と安全の維持に向けて協力していくことが益々大切になっています。この点に関し、2022年4月にリヒテンシュタインが主導し、採択されたところの「Veto Initiative」に、日本も共同提案国となりました。

【質問】今後30年間の日・リヒテンシュタイン関係について、一つだけ願いを叶えることができるとしたら、どのようなことを願うか?

【飯島大使】両国の間の人的交流が一層深まり、双方向での企業進出も大きく増加して、ゆくゆくはファドゥーツに日本大使館が、東京にリヒテンシュタイン大使館が出来れば素晴らしいことではないかと思います。


※2026年6月12日付のファーターラント紙に掲載された記事の日本語訳です。
原文はこちらからお読みいただけます。