海外安全対策情報(2020年10月~12月)

令和6年6月13日
在スイス日本国大使館
 

1 社会・治安情勢

(1)一般的には安定していますが、近年、欧州近隣諸国ではテロ等の凶悪事件が発生しており、スイス国内においても同種事件に対する警戒が必要です。
(2)観光地、電車、トラム及びバスの車内ではスリや置き引きに対する注意が必要です。
(3)都市部を中心に夜間や早朝の人通りの少ない場所では、暴行、傷害、恐喝、違法薬物取引、性犯罪等も発生しているため、単独行動に際しては安全確保に留意してください

 

2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向

(1)一般犯罪の傾向
2019年のスイス犯罪統計によれば、刑法犯認知件数は、432,000件で件数はわずかに減少したものの、割合は前年比±0%でした。
人口1,000人当たりの犯罪発生件数は、スイス全体では50.6件、多い州からバーゼル=シュタット準州109.0件、ジュネーブ州95.1件、ヌーシャテル州64.3件、チューリッヒ州59.9件、ヴォー州57.3件、ソロトゥルン州53.8件となっています。これらの州は、スイス全体よりも犯罪発生件数が多いため、特に安全に留意する必要がありますが、他の州においても安全確保に十分注意が必要です。


主な犯罪別件数は以下のとおりです。
 事件種別 2019年(件) 2018年(件) 前年比(%)
殺人 46 50 △8
殺人未遂 161 149 8
傷害(重度) 637 585 9
傷害 7,710 7,624 1
窃盗 127,120 128,621 △1
車両盗難 41.944 41,796 0
強盗 1,872 1,644 14
詐欺 17,606 16,319 8
恐喝 992 958 4
住居侵入 5,205 5,055 3
強姦 679 626 8
放火 836 920 △9
総数 432,000 432,754 0


(2)邦人被害事案
ア 被害例
11月上旬、ベルン州イッティゲンにおいて自転車盗難
イ 被害未遂例
12月中旬、ベルン中央駅付近のUBS銀行内ATMにおいて、邦人女性(夫である邦人男性が同伴)が現金を引き出そうとした際、1人の男がATMの操作方法を教えるふりをして右後方から近づき、暗証番号を盗み見るような素振りをしたほか、ATMからキャッシュカード及び現金が出てくる際にそれらを抜き取るような動きをしたため、動きに気づいた邦人男性がその男の動きを制止し追い払った。
ウ 被害多発地域等
(ア)公共交通機関
チューリッヒ空港(及びチューリッヒ空港駅)、ジュネーブ空港(及びジュネーブ空港駅)、チューリッヒ中央駅、バーゼルSBB駅、ルツェルン駅、インターラーケン・オスト駅、ヴィスプ駅、ソロトゥルン駅、ツェルマット駅など。
(イ)観光地
チューリッヒ、ベルン(時計塔、熊公園、バラ公園及び大聖堂周辺)、インターラーケン、グリンデルワルト(ユングフラウヨッホ)、ルツェルン、ジュネーブ、ツェルマットなどのほか、市街地路上、レストラン、ホテルなど
(ウ)手口
a 電車乗降時に荷物の運搬を手伝うふりをして盗む
b コインをばらまき注意を引いているうちに盗む
c 本人又は同行者に声をかけ注意を引いているうちに盗む
d 空港又は駅において、「公衆電話を利用したいがクレジットカードを持っていないため、現金と引き換えにクレジットカードを貸してほしい」と突然声を掛けて近づき、暗証番号を盗み見るとともにクレジットカード情報を盗む

(3)邦人以外の被害事案
ア 10月中旬、チューリッヒ市内において、トラックが走行中の路面電車に衝突し、路面電車に乗っていた14人が負傷。負傷者の大半は切り傷や擦り傷の軽傷。
イ 12月上旬、オプヴァルデン準州ティトリス(Titlis)付近において、スキーヤーのスイス人男性1人が雪崩に巻き込まれて死亡。

 

3 テロ・爆弾事件発生状況

(1)11月2日、オーストリア・ウィーンにおいて発生したイスラム過激派による銃撃事件に関連し、11月3日、チューリッヒ州警察は、チューリッヒ州ヴィンタートゥールで18歳と24歳の男2人を逮捕しました。
スイス連邦警察は、逮捕された男2人が2020年7月にウィーンの実行犯と面会しており、どの程度のつながりがあるか等テロとの関連を捜査しています。
(2)11月24日、スイス南部ティチーノ州ルガーノのデパート内において、28歳のスイス人の女が買い物客2人を襲撃し負傷させる事件が発生しました。
スイス連邦警察は、実行犯の女について、シリアのジハード主義者とオンラインでの関係を形成しており、テロとの関連の可能性も視野に捜査しています。
なお、実行犯の女は、2017年にシリアへ渡航する目的でトルコ国境を越えようと試みたが、トルコ当局により阻止されスイスへ強制送還され、その後、精神衛生上の問題を抱え精神病院に入院していたとのことです。
 

4 誘拐・脅迫事件発生情報

認知しておりません。
 

5 日本企業の安全に関わる諸問題

認知しておりません。