海外安全対策情報(2021年7月~9月)
令和6年6月13日
在スイス日本国大使館
1 社会・治安情勢
(1)一般的には安定していますが、近年、欧州近隣諸国ではテロ等の凶悪事件が発生しており、スイス国内においても同種事件に対する警戒が必要です。
(2)観光地、公共交通機関の駅、電車、トラム及びバスの車内ではスリや置き引きに対する注意が必要です。
(3)夜間や早朝の人通りの少ない場所では、暴行、傷害、恐喝、違法薬物取引、性犯罪等も発生しているため、単独行動に際しては安全確保に留意してください。
(4)コロナ禍において、在宅勤務や外出を控え家の中での行動が増えるなど生活様式が変化している状況に便乗し、インターネットを使用した犯罪(詐欺)が多く発生しているため、インターネットを利用する際には常にご注意ください。
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)一般犯罪の傾向
2020年のスイス犯罪統計によれば、刑法犯認知件数は、421,678件で、2019年と比較し件数が減少し、割合は-2%でした。
人口1,000人当たりの犯罪発生件数は、スイス全体では49.0件、多い州からバーゼル=シュタット準州103.1件、ジュネーブ州85.0件、ヌーシャテル州64.2件、チューリッヒ州60.5件、ソロトゥルン州54.8件、ベルン州52.8件、ヴォー州51.8件となっています。これらの州は、スイス全体よりも犯罪発生件数の割合が多いため、特に安全に留意する必要がありますが、他の州においても安全確保に十分注意が必要です。
事件種別 | 2019年(件) | 2020年(件) | 前年比(%) |
殺人 | 46 | 47 | 2 |
殺人未遂 | 161 | 206 | 28 |
傷害(重度) | 637 | 669 | 5 |
傷害 | 7,710 | 7,444 | △3 |
窃盗 | 127,120 | 113,645 | △11 |
車両盗難 | 41.944 | 40,496 | △3 |
強盗 | 1,872 | 1,949 | 4 |
詐欺 | 17,606 | 19,338 | 10 |
恐喝 | 992 | 883 | △11 |
住居侵入 | 5,205 | 5,671 | 9 |
強姦 | 679 | 713 | 5 |
放火 | 836 | 893 | 7 |
総数 | 432,000 | 421,678 | △2 |
(2)邦人被害事案
ア 被害例
特に認知しておりません。
イ 過去被害多発地域等
(ア)公共交通機関
チューリッヒ空港(及びチューリッヒ空港駅)、ジュネーブ空港(及びジュネーブ空港駅)、チューリッヒ中央駅、バーゼルSBB駅、ルツェルン駅、インターラーケン・オスト駅、ヴィスプ駅、ソロトゥルン駅、ツェルマット駅など。
(イ)観光地
チューリッヒ、ベルン(時計塔、熊公園、バラ公園及び大聖堂周辺)、インターラーケン、グリンデルワルト(ユングフラウヨッホ)、ルツェルン、ジュネーブ、ツェルマットなどのほか、市街地路上、レストラン、ホテルなど
(ウ)手口
a 電車乗降時に荷物の運搬を手伝うふりをして盗む
b コインをばらまき注意を引いているうちに盗む
c 本人又は同行者に声をかけ注意を引いているうちに盗む
d 空港又は駅において、「公衆電話を利用したいがクレジットカードを持っていないため、現金と引き換えにクレジットカードを貸してほしい」と突然声を掛けて近づき、暗証番号を盗み見るとともにクレジットカード情報を盗む
(3)邦人以外の被害事案
連邦政府のコロナ対策を批判するデモ行進等において、警察の指示に従わない者が警察側にビール瓶を投てきする等しています。それに対し、警察側もゴム弾や放水車を使用し、デモ隊を鎮圧しています。このような状況下で、双方にけが人が発生しているため、デモ等には近寄らないようにして下さい。
3 テロ・爆弾事件発生状況
(1)2020年11月2日、オーストリア・ウィーンにおいて発生したイスラム過激派による銃撃事件に関連し、同年11月3日、チューリッヒ州警察は、チューリッヒ州ヴィンタートゥールで18歳と24歳の男2人を逮捕しました。
スイス連邦警察は、逮捕された男2人が2020年7月にウィーンの実行犯と面会しており、どの程度のつながりがあるか等テロとの関連を捜査しています。
(2)2020年11月24日、スイス南部ティチーノ州ルガーノのデパート内において、28歳のスイス人の女が買い物客2人を襲撃し負傷させる事件が発生しました。
スイス連邦警察は、実行犯の女について、シリアのジハード主義者とオンラインでの関係を形成しており、テロとの関連の可能性も視野に捜査しています。
なお、実行犯の女は、2017年にシリアへ渡航する目的でトルコ国境を越えようと試みたが、トルコ当局により阻止されスイスへ強制送還され、その後、精神衛生上の問題を抱え精神病院に入院していたとのことです。
4 誘拐・脅迫事件発生情報
認知しておりません。
5 日本企業の安全に関わる諸問題
認知しておりません。